前世の記憶

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時は、19世紀―。 ある王国に、心優しく美しい娘と正義感の強い青年がおりました。 娘は、街で、花売りをし、優しい性格から、誰からも慕われていた。 青年は、兵士になる為、修行をしていた。 そんな2人が出会ったのは、よく晴れた日の午後だった…。 「マリア…今日も花をもらえるかい?」 かごに、きれいな花をたくさん詰め、売り歩くマリアに、老婆が、話かけた。 「あっ…おばあさん。 いつも、ありがとう!! 今日も、おじいさんのお見舞いね!! 一番綺麗なお花を持って行ってあげて!!」 マリアは、そう老婆に言うと、いくつかの花をかごから抜き、ササッと花束を作り、老婆に渡した。 「ありがとう。 いつも、おじいさんは、マリアの花を楽しみにしているんだよ!!」 老婆は、そう言って、マリアから花束を受け取ると、嬉しそうに去って行った。 「おばあさん、ありがとう。おじいさんのお見舞い、気をつけて行ってきてね!!」 マリアは、そう言って、老婆のことを、嬉しそうに見送っていた。 その時、誰かが、マリアにぶつかった。 ぶつかったことで、かごの中の花が、路上に散らばってしまった。
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