前世の記憶

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すると、マリアは、少し、困ったような顔をした。 「…そうよ…。 でも…今、家出をしているの…。」 マリアは、そう言って、溜め息をついた。 「家出!? どうして!?」 カールは、心配そうに、マリアを見つめた。 「実は…隣の国の王子と政略結婚をさせられそうで…それが、嫌で、この街に逃げてきたの…。」 「そうだったのか…。 それは…辛いね…。 この街の人達は、マリアが、お姫様だって、知ってるの?」 「知らないわ…。 もし、バレたら、噂は、一気に広まって、お父様達に連れ戻されちゃうもの…。 言ったのは、あなたが、初めてよ!!」 マリアは、そう言って、微笑んだ。 「そうか…。 辛い秘密を明かしてくれてありがとう。 俺は、カール…カール・スレイター。 兵士になる為に修行をしてるんだ。 もし、困ったことがあったら、呼んでくれ!! すぐに、駆けつけるから!!」 カールは、そう言って、微笑んだ。 「ありがとう…カール。 何かあったら、すぐに、あなたを呼ぶわ!!」 「あぁ。 じゃあ…そろそろ行くよ!! あっ…そうだ! 花を一本くれないか?」 カールが言うと、マリアは、頷いた。
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