前世の記憶

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それでも、マリアとカールは、時々、隠れて会っていた。 しかし、悲劇は、突然来てしまった。 カールも、親の決めた許嫁と結婚することが決まってしまった。 さらに、兵士として、戦争に行かなくては行けなくなってしまったのだ。 マリアとカールは、いつも会っていた桜の木の下で…永遠の愛を誓った。 「もう…2度と会えないかもしれない…。 でも、来世では…絶対、2人が結ばれるように…。」 カールは、そう言って、以前に撮った、2人の写真を、マリアに託した。 「…来世では…きっと…あなたと結ばれますように…。」 マリアは、そう言って、カールからもらった写真を抱き締めた。 そして、2人は抱き合い、キスをした。 この約束をした日が、2人が会った、最後の日だった。 マリアは、カールとの写真を、自分の大切にしていた本に挟み保管していた。 カールが、戦争に行ってから、1ヶ月後…。 マリアは、大好きなカールと会えない上に、夫である王や召使いに、何度も虐待され続け、36歳という若さで、この世を去った。
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