第一話 神崎若葉 キグジョ誕生!

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「ふふ、これで若葉のおじさんも安心するねぇ」    しみじみと言ったたまちゃん。  しかし、その言葉を聞いた瞬間に私は固まってしまい、マユは「あちゃー!」とおでこに手を当てた。   「えっ? どういうことぉ?」  たまちゃんはここでもいかんなく天然っぷりを発揮したが、その台詞は私が口にすべきものだ。  私の雰囲気ががらりと変わったことで、ようやく自分の失言に気付いた彼女は慌てて両手で口を塞いだ。 「あっ……。ごめん! 今のなしでお願いっ!」  しかし一度捕まえた尻尾をみすみす放すほど甘くはない。  私はガタリと席を立ち上がって、怒声を響かせたのだった。 「なし、なんてできるはずないでしょ!!」  と―― ……… ……  マユとたまちゃんは、やっぱりパパから頼まれていたそうだ。   ――これからも若葉にはりゅっしーをやって欲しいんだ。だからどうにか説得してもらえねえかな。  と。  どうやらりゅっしーに入るのを嫌がっていた私を見て、自分から言い出すのが怖かったらしいの。  まったく……。  『鬼の大吾』が聞いて呆れちゃうわ!  でも、パパはこうも言ってたんだって。 ――今日の子どもたちの笑顔を見て、俺は確信したんだよ。りゅっしーには若葉が一番だって。いや、もう若葉しか考えられねえんだ。  実の父親にここまで言われたら、引き下がれる娘っているのかしら!?  最後の最後までくすぶっていた何かが、パパの言葉でようやくどこかへ消え去っていった。    だから私は決めたの!  私はりゅっしーと一緒に青春してやるんだ!  ってね!
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