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◇◇
私の名前は神崎 若葉。花も恥じらう十五歳。
この日は、今までの人生でもっともワクワクする日だったの。
――諸君! 入学おめでとう! ようこそ、坂戸北高校へ!
校長先生から祝辞が述べられたこの瞬間、私は念願の高校生になったのだ!
どんなにこの瞬間を待ちわびたことか。
千年の眠りから目覚めたお姫さまって、こんな心境だったに違いないと思うの!
「はははっ! 私の青春はここから始まるのね!!」
入学式終了後、会場の近くで散り始めた桜の下で小躍りする。
この日を迎えるために、川越のおしゃれな美容室で整えた、きれいなシルエットのボブが、さらさらとなびいた。
初めての通学路。雲ひとつない青空。一緒に下校する親友たち……。
この時は、すべてがきらきらと輝いていたのだった――
………
……
同じ高校に進学した親友たちと自宅のマンションの前で別れてから、素早く周りを確認した私。
「よし! 誰もいない!」
と、つぶやいた後、すぐさま制服のポッケにしのばせておいたメモを取り出すと、自然と顔がにやけていった。
それは「高校生になったらやりたいこと」が書かれてメモ。
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