第一話 神崎若葉 キグジョ誕生!

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◇◇  入学式からちょうど一ヶ月たった、ゴールデンウィークのある日。  地元の『南坂戸駅北口商店街』では、毎年恒例のビックイベントが、いよいよ開催されることになった。  それが、フリーマーケットだ。  南坂戸北口商店街の駐車場を兼ねた、灰色一色のコンクリートが続く広いイベント会場に、所狭しと商品が並べられ、売りたい人と買いたい人が入り混じって大いに賑わう。  私も去年までは「買う側」として、楽しみにして参加していたものだ。  しかし、今年は「買う側」でもなければ「売る側」でもなく、なんとフリーマーケットを「運営する側」なのだから自分でも驚きだ。  そう……。  いよいよアルバイトのデビューを、フリーマーケット会場で迎えることになったのだ。  それはイベントのわずか三日前のこと。  南坂戸駅北口商店会の会長を務めているパパの神崎 大吾に、 ――おい! 若葉! アルバイトしたいんだってな! だったら今度の商店街のフリーマーケットで手伝ってほしいことがあるんだがやるかい? もちろん給料は弾むぜ!  と、誘われたのがきっかけだった。  始まったばかりの高校生活に慣れるのがやっとで、アルバイトどころでなかった私。     
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