24人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふふ、これで若葉のおじさんも安心するねぇ」
しみじみと言ったたまちゃん。
しかし、その言葉を聞いた瞬間に私は固まってしまい、マユは「あちゃー!」とおでこに手を当てた。
「えっ? どういうことぉ?」
たまちゃんはここでもいかんなく天然っぷりを発揮したが、その台詞は私が口にすべきものだ。
私の雰囲気ががらりと変わったことで、ようやく自分の失言に気付いた彼女は慌てて両手で口を塞いだ。
「あっ……。ごめん! 今のなしでお願いっ!」
しかし一度捕まえた尻尾をみすみす放すほど甘くはない。
私はガタリと席を立ち上がって、怒声を響かせたのだった。
「なし、なんてできるはずないでしょ!!」
と――
………
……
マユとたまちゃんは、やっぱりパパから頼まれていたそうだ。
――これからも若葉にはりゅっしーをやって欲しいんだ。だからどうにか説得してもらえねえかな。
と。
どうやらりゅっしーに入るのを嫌がっていた私を見て、自分から言い出すのが怖かったらしいの。
まったく……。
『鬼の大吾』が聞いて呆れちゃうわ!
でも、パパはこうも言ってたんだって。
――今日の子どもたちの笑顔を見て、俺は確信したんだよ。りゅっしーには若葉が一番だって。いや、もう若葉しか考えられねえんだ。
実の父親にここまで言われたら、引き下がれる娘っているのかしら!?
最後の最後までくすぶっていた何かが、パパの言葉でようやくどこかへ消え去っていった。
だから私は決めたの!
私はりゅっしーと一緒に青春してやるんだ!
ってね!
最初のコメントを投稿しよう!