合宿、それは出会いの始まり

合宿、始まる

　「やっほー！」
　「イェーイ！」
　「やったるでー！」
　「あっつぅーい！」

　４台の大型バスから同じような声が聞こえてくる。
　俺達は、今は長野に来ている。
　バスに揺られること5時間でようやく到着だ。
　寝て過ごしたお陰で、お目目パッチリだ。
　そして、これからは昼飯タイム。
　弁当箱を開け見る。
　おっ、定番メニューばかりだな。
　ニギリ飯　大３個
　唐揚げ　３個
　ゆで卵　１個
　かぼちゃの含め煮　３切れ
　リンゴ　１/４個

　でも、今までよりも弁当箱がデカイので嬉しい。
　今日から４泊５日の合同合宿が始まる。A校、B校、C校、D校、E校、F校、G校、Y校の八校が一緒だ。男女が別々の旅館に泊まる。女との馴れ合いを求めて合宿に参加したわけではないからだ。

　俺の名前は、日下夏生。呼び名は「くさか　なつお」で、「なつき」ではない。「なつ」と呼び捨てにされてる。A校１年生の陸上部短距離所属、よろしくお願いします。
　陸部の合宿だから、練習ばかりだろうというのは簡単に予測できた。それと、長野だから少しは涼しいかもというのもあったが、横浜と一緒じゃんっ。「あっちぃ…」とボヤキが出る。

　合宿が始まり、一番イヤなことは就寝時間だ。家では、早くても０時に寝てたのに、２２時が就寝だなんて早過ぎだ。練習ばかりで疲れもあったのだろう、２２時きっかりに俺は寝てた。同室の連中は、布団に潜ってヒソヒソ話をしてたみたいだ。
　そうこうするうちに、３日目の夜。身体も慣れてきたし、俺も布団でのヒソヒソ話に参加したいな。