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メグがいたずらっぽく笑った。
「森舘さんて、『嵐が丘のジェーン』を読んでいるでしょ?」
『嵐が丘のジェーン』は『月刊ラブリー』で連載している19世紀イギリスが舞台のラブストーリーだ。
作者、中原桃子先生の代表作と言われる歴史大河ロマンで連載が始まってから10年続いていて、私は通称『あらジェン』を小学5年生から読んでいる。
主人公ジェーンが伯爵令嬢からメイドに身を落として、婚約者マークは家族から結婚を反対され、ジェーンのいとこエリザベスに秘められた想いを打ち明けられたりしても彼は決して心を動かされたりしないの。
マークの愛の深さ、感動的だわ。
単行本は17巻まで全部持っている。内緒だけど、セリフも全部暗記している。
「ひとり『あらジェン』」をやれと言われたらかなりハイクオリティーにやれるわよ。
少女マンガが好きなんて恥ずかしくて誰にも言ったことがないけど、ヴィクトリア朝時代を描かせたら画力でも知識でも桃子先生の右に出る者はいないと断言できる。
「な、何で知ってるの?」
「だって後ろから見えるもん」
山咲めぐみは私の後ろの席だった。
あちゃー、カバンに入ってるのを見られたんだわ。
「中原桃子先生は素晴らしいマンガ家よ。悪い?」
「何も悪くないわよ。だから、森舘さんだったらアフタヌーンティー部で何かしてくれるんじゃないかなーと思ったのよ」
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