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4人が揃って頷いた。
「ここ、壊されちゃうの? こんなに素敵な手作りの部屋なのに?」
「部員が増えないとそうするしかなくなるの」
えり部長が涙目で言った。
この教室に入った瞬間、桃子先生のマンガと同じだと思った。
大好きな桃子先生の作品の世界。いつか行きたいと夢みていたイギリス。
「壊したくないでしょ?」
頼りにできるのはあなたしかいないという顔でアンナ先輩も私を見ている。
確かに、これを壊すのは心が痛む気がする。
でも私には部活なんかやっている暇はない。
今日も塾に行く時間が1秒ずつなくなっている。
西麻布高校に入学した同級生が私を嘲笑う声が聞こえる。
「森舘エマ、どこの高校に行ったか知ってる?」
「聖キャサリン女学院だって」
「友達も作らずにガリ勉した結果、あのバカ高校?」
「いい気味よね」
そして、もう一度、ヴィクトリア様式を模した部室を見ると、目の前の4人が懇願するように私を見ている。
私はすぅーっと息を吸った。
「名前を貸すだけだからね」
「キャー!そうこなくちゃ」
アフタヌーンティー部の4人が抱きついてきた。
自分が言ったことに自分で驚きながら、メグ、ベッシー、えり部長、アンナ先輩の歓迎を受けた。
「アフタヌーンティー部にようこそ!」
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