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「名前だけ」と言ったのに、私はあれから毎日、アフタヌーンティー部に連れていかれていた。
翌日は、
「入部手続きがあるから、今日だけお願い。ね、ね」
と、メグの笑顔に騙されて、渋々と行き、結局、紅茶を飲まされ、下校時刻まで居てしまった。
そのまた翌日も
「部活服を作るから寸法を測らせて下さらない?」
洋裁が得意なベッシーに言われて部室まで来てしまった。
ベッシーは、ウェディングドレスのブランド「ドレス・ドゥ・ベッシー」の社長の娘らしい。
自宅に業務用ミシンや素材が揃っているので、アフタヌーンティー部の「部活服」であるメイド服の製作を一手に引き受けているのだそうだ。
女中的ポジションを抑えながら、アフタヌーンティー部を陰で牛耳っているのはベッシーのような気がしている。
その証拠に、口調は柔らかいメイド風だが目が笑っていない。
返事に有無を言わせない鋭さがある。
面倒な人に引っかかっちゃったな。
そして、また翌々々日は、
「いい茶葉が手に入ったから、今日は来た方がいいよ」
と、アンナ先輩が教室まで迎えに来られ、えり部長のビスケットを試食し、紅茶の基本の淹れ方まで習ってしまったのだった。
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