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「そりゃ、稼ぐためよ。決まってるわ。じゃあ、遠藤くんはどうなのよ」 「僕はちょっとヤンチャしてたので……。何とか高校は卒業したんですが、就職先がなくて。それで拾ってもらったんです」 「ほらあ。大した理由じゃなかった」  聖子のストレートな物言いに、悠真は思わず苦笑する。  何故葬儀会社に就職したのか。  この業界に入った者にとってはメジャーな話題だ。  聖子がアルバイトとして入社して来たのは、悠真が二十歳の時だった。  彼女は三十九歳にしては若々しく、恐ろしく美人で。笑えば大輪の花が咲き、程良い肉つきの身体は異性の瞳に蠱惑的に映る。独身ということもあり、世帯じみた空気がないのも男性に受けた。  しかし、聖子と付き合おうとする者はおらず。  何故なのか。  その理由はすぐに分かった。 「遠藤くんって、ドーテーなの?」  文字通り、悠真はお冷やを吹き出した。汚れたテーブルをおしぼりで拭いながら、ぼそりと回答する。 「……いや、そんなことはないですよ」
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