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 ところがどうだ。本社に渦中の人物を呼び出し、提案をしたところ、まさかの拒否。  閻魔の眉間に青筋が立つのを周囲は見逃さなかった。 「それに、一度謝っています。式場で頭を下げているのに、また足を運べなんて傲慢じゃないですか」  発端は葬儀でのトラブル。あまりの騒ぎに天国も駆けつけ、二人で共に詫びを入れている。  その時の様子を思い出しているのか、彼の瞳はどこか物憂げだ。 「……部長、あの時、見ましたよね」 「何をだ」 「頭、ですよ」  瞬間、ぶふっと仏頂面が崩壊し、吹き出した。唾がデスクに飛散する。 「カツラ、後ろに寄せすぎて、おでこツルツルなんですよ」
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