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ずっと一緒にいたい。彼女の隣にいる姿を夢想すると、胸が熱くなる。想うのは自由だ。いくら報われなくても、好きな人を心に留めておくだけで、彼は幸せになれる。
悠真は、この恋が叶わないことを悟っていた。
聖子と悠真は十九も歳が離れている。いくら彼が相手を想っても、聖子の眼差しは息子や弟を眺めるものと同じ。恋愛に発展することはなかった。
それでも良い。
実らなくても、彼は彼女を愛し続けた。
悠真は若い。いずれ身の丈に合う女性が現れて、惹かれるようになる。
彼女は高嶺の花で、悠真は居心地の良い片思いをさせてもらっているだけなのだ。
そう、これは夢。声をかければ、彼女は微笑む。それだけで心が満たされる。
そんな大海を漂うような穏やかな関係が、ずっと続くのだと信じていた。
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