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 葬儀の後は告別式となる。  読経終了後、住職を見送ると、まずは喪主挨拶。夫である部長の不器用な言葉が式場に響く。悲しみの嵐が参列を襲った。  出棺までは三十分以上ある。火葬場を予約した時間を考えると、定刻出棺が望ましい。  悠真はスタッフに指示を出し、棺を式場の中央に配置。蓋を開けると、ゆっくり偲べるように参列者に声をかけた。祭壇や各取引先から届いた供花から花を摘み、スタッフと手分けをして配り歩く。  参列者は棺に花を入れながら、顔を見て、思い出に浸る。話し声はさわさわと広がり、ハンカチを片手に人々の心が重なっていく。  悠真は少し離れた場所でその様子を見守っていた。
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