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「桜の木の下には屍体が埋まっている」
昔の小説家が書いた、物語の冒頭らしい。
彼曰く、屍体の養分としする故に綺麗に桜が咲くのだとか。
馬鹿な話だ。
全国の桜の名所が、屍体だらけになるではないか。
その桜達は、見られ愛でられ慈しまれ、
その結果、満開の花となって返ってくるに過ぎない。
ここに立つ桜の木もその一つだ。
と言っても、良い話が残っている訳でもない。
よくある男女の悲恋だ。
先の大戦で、離れ離れになる事が決まった幼馴染同士が、この桜の木の下で再会を果たそうと約束する…
こう書くと再会出来なかったみたいだが…
ふふっ、結果がどうなったか今から見れるぞ。
「太郎さん、今年も満開だで」
私の上で桜が満開になっている。
太郎さんはここで私を待ち続けた。
たとえ命果て、朽ちたとしても。
「桜の木の下には屍体が埋まっている」
この1文は私の中では真実であり、
最愛なる方の現世の姿
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