128.サンドイッチ

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「クララ様は毎日練習していたんだよ。最初は指を切ってアキトさんが回復魔法をかけたりしてね」 「フィーネ! そのようなことは内密にだな……」 照れて顔を赤らめるクララ様がどうしようもなく愛おしかった。 このサンドイッチを食べたなら鬼ヶ島に鬼退治にだってついていくよ。 チョロいと言われたって知らないもんね。 キビダンゴ一つで桃太郎の家来になった犬よりかはずっとましだと思うぞ。 コウタ犬はそんなに安くない。 ワンワン! だってこのサンドイッチにはクララ様の愛情がいっぱい挟んであるんだぞ。 お腹も心も満たされて俺の元気も10倍だ。 「どれもとても美味しかったですよ。ごちそうさまでした」 「うむ。次はもう少し違うものを作ってみる。また食べてくれるか?」 「もちろんです。私は果報者です」 「バカ。そなたは私のフィアンセだろうが……」 「だから幸せなのです」 俺とクララ様は満たされた気分のままバッムスに視察に出かけることにした。  俺たち四人はポータルでバッムスに移動した。 バッムスの人口は1821人と136人しかいないエッバベルクよりはだいぶ広い。 おもな産業は岩塩、毛織物、塩漬け肉、穀物生産が中心となっている。 気候はエッバベルクよりも南にある分いくらかは温暖だ。     
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