1.不思議なことは唐突に起こる

3/11
前へ
/938ページ
次へ
中断していたパッキングを再開した。 学生時代から登山を初めて、社会人になった今でも年に何回かは山へ行っている。 75リットルの大きめのザックにチェックリストを確認しながら荷物を詰めていく。 今は冬なので雪山装備はそれなりに沢山の荷物になる。 雪山は一年ぶりだけど、体力の方は大丈夫だろうか。 ふと思った。  俺が遭難したら絵美は悲しんでくれるのかな? 我ながらネガティブ! 明日は久しぶりの山なんだから楽しむことにしよう。 ボッチのソロ登山だけど……。  21時30分まで絵美の帰りを待っていたが、戻ってこなかった。 メッセージを入れたが既読マークはつかない。 仕方がないのでメモと登山計画書を置いて家を出ることにする。 山に行くことは既に伝えてあるから問題はない。 山に行くことを伝えた時、絵美は心配するでもなく、興味もなさそうな返事をしていた。  夜の高速道路を長野県へ向かう。 今からなら日付が変わる頃には目的地に到着できるはずだ。 向こうについたら自動車の中で仮眠をとって早朝から登り始める予定だった。  翌朝は少し寝坊をして6時くらいから山に登り始めた。     
/938ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8084人が本棚に入れています
本棚に追加