4.特別なシチューを貴方に

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そんなものがあるんだ。でも女の子が一人で迷宮に入って魔石取りって大丈夫なのか? 「危険じゃないの? さっきだって危ないところだっただろ」 「ええ……。でも私が魔石を取ってこないと弟と妹を養っていけませんから。危険ではありますが身売りをするよりはマシです……」 たぶん、両親はいないんだろうな……。 リアは自分の歳を16歳と言っていた。 16歳の女の子が二人も子供を育てているのか……。 待てよ、ということはリアの家の経済状況ってあまりよくないんじゃないか?  むしろ厳しいといった方がいいはずだ。 「コウタさんはウサギの肉はお好きですか? さっき猟師さんから買っておいたんです」 待ってくれ!  それって俺をもてなすために無理をしたんじゃ……。 「ふふ、いい匂いがしてきました。味に自信はないですけどいっぱい食べてくださいね」 リアの笑顔に何も言えなくなってしまう。 「ありがとう……」 鼻歌を歌いながらシチューを温めるリアの後ろで、俺は空間収納をあけた。 せめてパンや果物くらい出そうと思ったのだ。 さっき買い物をしておいて本当に良かった。 テーブルの上にパンやリンゴ、ミカンなどを並べていく。 「ただいま! すげーいい匂いがする!」 「ただいまぁ。お姉ちゃんヤギのミルクをもらってきたよ」     
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