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「あの娘の父親は戦で、母親は流行り病で亡くなっております。下に小さな弟と妹がおりますれば無理を言うわけにもいかず……」
「そうか……」
クララは深いため息をついた。
それもこれも見栄っ張りの父が大勢の兵士を連れて行った報いなのだ。
思わず亡き父に悪態をつきそうになるが何とか堪こらえた。
自分は今やアンスバッハ家の当主だ。
エゴンに取り乱した姿を見せるわけにはいかなかった。
「ところでそのリアなんですが……」
「どうした?」
「もし、どうしても困っているなら従者に心当たりがあると言っておりました」
「なんだと!」
沈んでいたクララの顔に生気がともった。
「それはこの村の人間か?」
「いえ。よくわからないのですがリアは召喚獣だと言っておりました」
「召喚獣? 私が欲しているのは従者となる人間だぞ」
「はあ。なんでもその召喚獣は人間だとリアは言うのです」
「召喚獣が人間? そんなことがあり得るのか?」
「それはこの爺にもわかりません」
リアに直接聞く方が早いだろう、そう判断したクララはさっそく使いを出すのだった。
社員食堂の日替わりBランチはチキン南蛮定食だった。
これ大好物なんだよね。
今日はなにかいいことが起こりそうな気がする。
相変わらずの絵美との仲も進展するかもしれない。
一緒に来た後輩の吉岡はAランチのサバの味噌煮定食を食べている。
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