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若いのに渋いチョイスをする奴だ。
吉岡はいわゆるオタクと呼ばれる種類の人間で、いろんなことに詳しくて一緒にいて楽しい。
昼休みはほぼ毎回一緒に過ごす仲だ。
さっさと食事を済ませた吉岡はスマートフォンで何かを一生懸命読んでいた。
「やべえ、面白すぎる……」
ニタニタ笑いながら満足そうにつぶやいているぞ。
「ゲーム?」
「ネット小説ですよ。この作者は毎日更新するから楽しみにしてるんです」
「へえ」
ネット小説というのは読んだことがない。
「今読んでるのは女騎士が主人公のファンタジーなんですけどね。どうですか女騎士?」
「あれだろ? モンスターとかに襲われて「くっ、殺せ」とか言っちゃう奴だよね。どちらかというと性格のきつめな騎士より、優しい回復職とかの方が好みかな」
「先輩も癒し系が好みなんだ」
「胸が大きければなお良し」
「癒し系ならぬイヤラシ系かぁ……凡庸ですね。ツンデレとかクールビューティーとかには……」
急に吉岡の声が遠くなった気がしたと思ったら、例の狭間の小部屋にいた。
召喚獣として呼び出しがかかったようだ。
でも前回リアに召喚されたのは3日前だぞ。
リアは魔力の回復に10日はかかると言っていたよな。
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