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こっちの世界って賃金が安いんだな。
そのぶん物価も安そうだけどね。
俺が考え込んでいるとアンスバッハさんは心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
「召喚獣殿、この条件で如何であろうか?」
…………。
………ずるいぞ。
可愛いじゃないかこの野郎!
性格のきつそうな人の不安げな顔………これが………ギャップ萌えか………。
「リアから貴殿を紹介されて、藁にもすがる思いで召喚いたしたのだ。どうか我が願いを聞き入れて欲しい」
はぁ、可愛い上にリアの推薦か。
今回のスキル「麻痺」は取っておきたいやつだしなぁ。
返事を保留したまま更に考え込んでいるとなんだか屋敷が騒がしくなっていた。
なにか起きたのか?
アンスバッハさんも怪訝な顔をしている。
「クララ様ぁ! 一大事にございます!」
ノックもせずに扉を開けて、飛び込んできた執事のエゴンさんの顔は青い。
「客人の前だぞ」
アンスバッハさんの叱責を手で制しながら、エゴンさんは喘ぐように言葉を吐き出した。
「モンスターでございます! 東口にゴブリンが! 村の子どもが攫われましたぁ!」
そこまで聞くとアンスバッハさんはやおら立ち上がり、
「失礼する」
とだけ言って出て行ってしまった。
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