7.お前を抱いて異世界へ

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7.お前を抱いて異世界へ

 目の前にいる吉岡が急に俺の顔を覗き込んだ。 「どうした?」 「先輩、なんか疲れてませんか?」 それはそうだ。 吉岡にとっては何の変哲もない昼休みだろうが、俺はこの世界の時間軸を抜け出して、異世界でゴブリンと戦闘をしてきたばかりだ。 疲れているに決まってる。 ここで少し時の流れについて整理してみよう。 異世界に召喚された俺は向こうで何日過ごしても帰ってくるときは召喚された時点に戻ってくる。 だけど、異世界での時間は俺が地球のどの時間に戻っても関係なく流れ続けているようだ。 つまり俺自身が感じている時間の流れは異世界の時間の流れに準拠しているのだ。 唯一の例外は「狭間の小部屋」で、あそこはどちらの時間軸からも独立している。 だから狭間の小部屋でどれだけ過ごそうと、どちらの世界の時間も進まない。 まあ、時空神の偉大な力が働いてるってことだ!  次の召喚は3日後の朝ということで決まった。 正確に言うと62時間27分32秒後だ。 現在12時42分なので、地球時間で三日後の深夜3時9分に召喚される予定だ。 どうしてここまで正確にわかっているかといえば、クララ様に俺の時計をタイマーモードにして渡してあるからだ。     
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