8.火を焚いて君を待つ

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これも文句ひとつ言わず練習に付き合ってくれたクララ様のお陰だ。 間違えれば注意はされるが、俺ができるようになるまで忍耐強く付き合ってくれた。 まだ20歳だそうだけど立派な態度に感心してしまう。 うちのすぐ怒る部長にも見習ってほしいもんだ。  鎧の次は馬の世話だ。 クララ様の愛馬はブリッツという名前の黒馬だ。 軍用の馬でとても賢く、肝が据わっている。 俺の持ってきたバイクの音にもすぐに慣れた。 クララ様やエゴンさんの方がよっぽどビビってたね。 旅の間はブリッツに餌をやり、鞍をつけ、体を洗ってやるのは全部俺の仕事だ。 ブリッツは賢いし、世話をする俺に親愛の情を示してくれるので大好きになった。 だけど(ひづめ)蹄鉄(ていてつ)をつけるのだけはまだ慣れない。 蹄鉄は蹄が割れるのを防止するためにつけるそうだ。 でもブリッツみたいに大きな馬がブルンブルン言うとかなり怖い。 頼むからおとなしくしていてくれよ。 今日も地味に「勇気6倍」が大活躍だ。  仕事はどれも肉体労働が多くて大変なんだけど、なんか新鮮で生き生きしている自分がいる。 意外とこういう暮らしが性に合っているのかもな。 給料は安いけど6日に一度は新しいスキルが手に入るので、今のところ文句はない。     
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