8.火を焚いて君を待つ

4/7
前へ
/938ページ
次へ
「いま帰り?」 「はい。今日も無事に帰ってこられました」 リアとしゃべりながら歩いた。 「コウタさんがくれた傷薬のお陰で前よりずっと楽に狩りができます」 「薬はまだある? 予備を渡しておこうか?」 「大丈夫ですよ。まだたっぷりありますから。あっ……」 リアが何かに気づいたように(こずえ)の上を見上げている。視線の先をたどると枝の上に鳥が一羽止まっていた」 「山鳩(ヤマバト)です。美味しいんですけど、今日の探索で矢を使い果たしてしまいました」 リアは悔しそうだ。 出来ることならリアたちに焼き鳥をご馳走してあげたい。 ゾットとノエルも喜ぶだろう。 そうだ!  俺の麻痺魔法(パラライズ)で何とかならないか。 掌に魔力を貯めてパラライズボールを発動した。 パチンコ玉くらいの光弾は見事に山鳩に命中して枝から落ちてくる。 すかさず走り寄ったリアが首を絞めた。 うわあ……俺にはまだあそこまで躊躇(ちゅうちょ)なく首を絞めることはできない。 この世界で生きていくためにはこういうことにも慣れていかなくてはならないな。 「やりましたねコウタさん。どうぞ」 リアは笑顔で俺に山鳩を差し出してくれた。     
/938ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8083人が本棚に入れています
本棚に追加