8.火を焚いて君を待つ

7/7
前へ
/938ページ
次へ
 朝食を食べ終えたところですぐにエッバベルクの東にある森へと出発した。 本日のメンバーはクララ様、俺、馬のブリッツの他に猟犬のハスラーがいる。 ハスラーは見たことのない犬種でかなりでかい。 俺の知っている犬の種類に照らすとグレートデンくらいある。 しかも顔が怖い。 モンスターにしか見えない。 きっと地球上にはいない種類なのだろう。 猟犬としてよく訓練されており、優秀なのだそうだ。 「よろしくなハスラー」 挨拶する俺をハスラーは横目で見て「フン」と鼻を鳴らした。 あ、こいつ俺を格下に見たな! くそ、舐めやがって。 デカい獲物を捕らえて見返してやるからな。 「コウタ、この森は比較的安全な森だが奥地に行けばゴブリンの巣もある。決して気を抜くなよ」 「はい」 小心者を舐めないで欲しい。 初めて入る見知らぬ森。 しかもモンスターもいるんだぜ。 気を抜くわけないじゃないですか。 ずっとお側にいますから皆でちゃんと守ってね!  1時間後。俺は森の奥深くに一人で立っていた。 クララ様とブリッツ、ハスラーは狩りに行ってしまった。 そして俺は孤独に荷物番だ。 ……気なんか抜けるか!!  とりあえず薪になる枝でも拾いますか……。 その辺に沢山落ちている枯れ枝を集めて、お湯でも沸かしながらクララ様の帰りを待つとしよう。
/938ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8083人が本棚に入れています
本棚に追加