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この行動は何とか間に合い、肉薄してきた蜘蛛の頭にピッケルのスピッツェ(石突)を突き刺すことに成功していた。
蜘蛛の体重と加速が大きかったせいだろう。
ピッケルは深々と刺さり蜘蛛は自滅した。
「大丈夫? 怪我はない?」
大慌てで女の子の所に駆け寄る。
「エレバヌーラバセリアボレーゼ ルカルセ!」
言葉が通じない!
考えてみれば女の子は見た目からして日本人ではない。
青い髪に抜けるように白い肌、瞳の色は灰色がかった青だ。
「ごめん、言葉がわからないんだ」
英語やフランス語じゃなさそうだ。
語学は堪能ではないがそれくらいはわかる。
でも、お礼を言っているということだけは頭を下げたり、手をワタワタしているジェスチャーでなんとなくわかった。
笑顔がとても可愛い。
俺は自分を指さして何度も名前を告げる。
「公太。俺はコ・ウ・タ」
「コウタ?」
「そうそう、俺の名前ね。コウタ」
すると彼女は自分を指さして、
「リア」
と名乗った。
たったそれだけのコミュニケーションでも通じるととても嬉しい。
俺たち二人で名前を呼び合い笑顔になった。
笑うと彼女は一層可愛かった。
改めて彼女を見てみると不思議な格好をしている。
一言で言ってしまえばファンタジー系ロールプレイングゲームの中の登場人物のような格好だ。
革の鎧を身に着け、腰には剣を下げている。
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