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頭にはヘルメットみたいな兜をかぶり、背中にはマントを付けていた。
腕を見ると負傷していて血が少し出ている。
あの蜘蛛にやられたのだろうか。
傷は深くなく少し切れているだけだ。
ザックからファーストエイドバッグを取り出した。
山に登る時は一応の備えとしていつも常備しているものだ。
傷薬やテーピング、三角巾など簡易医療セットが入っている。
傷口を水筒の水で洗って傷薬を塗っていく。
「ルカルセ」
それ、何回か聞いたな。
きっと「ありがとう」だろう。
「どういたしまして」
あれ?
どうなっているんだこれ?
薬を塗った端から傷が治っていくぞ!
俺もリアも同じようにびっくりしている。
これは特別な薬じゃない。
街の薬局で売っている普通のステロイド系軟膏だ。
評判はいいけど魔法の薬なんかじゃないはずだ。
一体全体どうなっているんだ。
おかしなことが多すぎる。
蜘蛛は巨大だし、薬は効きすぎるし、結局ここはどこなのかも未だにわからない。
聞きたくても言葉が通じない。
やばい、猛烈に不安になってきた。
とりあえずこの建物から出た方がいいだろう。
ジェスチャーで建物から出たいと表現するがうまくリアには伝わらなかった。
次に現在位置を把握しようと地図を取り出す。
山に行くときに地図は必携だ。
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