120.パルプフィクション

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もう一度感謝の祈りを捧げておこう。  ふと、絵美の顔が頭をよぎる。 ひょっとすると絵美は、俺にとってのクララ様のような人に出会ってしまったのかもしれないなんて考えた。 もしそうだったら……。 今度会うことがあるのなら「もういいんだよ」って言ってあげようと思った。 絵美は絵美で苦しんだのだと思う。 まあ、小心者の俺なら深入りする前に距離を置いただろうけどね……。 性格的に浮気は無理そうだ。 こんなところでゴチャゴチャ考えていても仕方ないな。 ひょっとしたら数時間後に死んでしまうかもしれないのだ。 「難しいお顔をされています」 いけない。 ロゼッタさんがいるのを忘れていたよ。 きっと複雑な顔をしていたんだろうな。 「大丈夫ですよ。戦いの不安じゃなくて、自分の過去を振り返っていろいろと反省していただけです」 頭を掻く俺にロゼッタさんは慈愛に満ちた笑顔を見せた。 「一緒に祈りましょう」 うん。 本当に反則級だ。  結局、出かける直前まで俺はクララ様と過ごした。 特に何かをしたわけじゃない。 ただ二人でいただけだ。 それがもう自然なことになるくらい二人は親密だった。 戦に臨む者らしく俺もクララ様も悲壮感を漂わせていたと思う。     
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