120.パルプフィクション

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それはゲイリーもそうだったし、ロゼッタさんやリア、吉岡だってそうだった。 だから俺たちは今の状況にとんでもない虚脱感を覚えていた。  勇者パーティーは迷宮を封鎖するべく、決死の覚悟で地下下水路に降り立った。 お告げの通り午前零時丁度にダンジョンの入り口は現れる。 百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)するがごとく迷宮からモンスターが下水路へと溢れ出してくる。 かねてから打ち合わせていた通り最初から出し惜しみなく全力の攻撃でいくことにした。 「リア、召喚を頼む!」 「はい!」 リアが術式を展開して吉岡を召喚する。 あたかも吉岡が2メートルだけ瞬間移動したような形でリアの前に召喚された。 「みんな下がって。先ずはリアと自分が大規模魔法を放ちます」 吉岡の声にゲイリーたちは防御を固めた。 「アキトさん、魔力の循環準備が整いました」 「よし、やろう! いくよ……マジックニードル!!」 マジックアローという魔法がある。 一般的に無属性といわれる魔法だ。 これは魔力を具現化して矢(アロー)のように飛ばす魔法だが、かなり基礎的な魔法でもある。 吉岡のマジックニードルは原理的にはこれと同じものだ。 吉岡たちがやったのは矢(アロー)を針(ニードル)に替えただけだ。     
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