120.パルプフィクション

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だけど百本や千本なんて数じゃない。 天文学的数の針が魔法の力で打ち出されてモンスターに襲い掛かっていた。 何百体といるモンスターたちは奔流のようにこちらに向かって襲い掛かってくるのだが、俺たちに届く後わずかなところでボロボロとおがくずのように崩れ落ちていく。 通路が狭いうえ、数も多いので避けることもできないようだ。 この魔法は射程距離が10メートル強くらいしかないようで後ろの構造物に被害も与えていなかった。 吉岡なりに考えてこの魔法を編み出したのだろうが、あまりの威力に他の全員がポカーンな状況だ。 五分もしないうちにモンスターたちは全滅していた。 「………………」 全員が沈黙している。 代表して俺が発言してみるか。 「吉岡君。さっきの魔法は何?」 「マジックニードルはアメリカのパルプフィクションSFに出てくる短針銃(ニードルガン)を参考にして創った新魔法です。詰められたらヤバいかなと思ったんですけど、自分の予想より威力があってびっくりしました」 びっくりしたのはこっちだ。 「あの、作戦の第一段階は……これで……終わりなのでしょうか?」 ロゼッタさんがおずおずと聞いてくる。 「そのようですな。働いたのはアキトとリアだけですが……」     
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