121.スタートライン

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「落ち着けアキト。今回のダンジョンがどのように探索されるかはまだ分からない。だが、たいていは保証金を支払って入場権を得るという形をとっている」 貴族なら男爵以上の爵位持ち、神殿関係者なら司教以上の高位聖職者のみ参加が許されているそうだ。 そうやって、金持ちが新たに金を生み出していくのだね。 「補償金の額はどれくらいですか?」 吉岡が興奮した表情でクララ様に聞いた。 「だいたい二千万マルケスと聞いたが――」 「自分が出します! 迷宮探索をさせてください!」 クララ様は近く男爵に叙任される予定なので身分的には問題はないのだが、吉岡の意気込みがすごいな。 「い、いや、アキトがそこまでの情熱を持っているのならば、私としても探索はさせてやりたいのだが……」 「何か問題でもありますか? 保証金は自分が用意しますので是非やらせてください。ダンジョンは自分にとって金ではなくロマンの問題なのです!」 吉岡の発言にゲイリーがウンウンと頷いている。 こいつらは……アホだ。 数千万マルケスを支払ってまで冒険ごっこをしたいっていうんだからクレイジーだよ。 でも、俺もそんなアホは嫌いじゃないんだけどね。 「わかったアキトの好きなようにするがよい。これまでアキトにはさんざん苦労をかけ乍ら少しも報いることができなかった。保証金に関しては私がだすとしよう」     
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