121.スタートライン

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苦笑しながらクララ様はそう答えてくれた。  ところがだ。 吉岡の願いはどうやら叶えられそうもない方向に事態は進んでいた。 迷宮からの帰還後、ゲイリーとロゼッタさんの報告により、俺、吉岡、リアの三人は迷宮封鎖作戦の功績を認められて騎士爵に叙任されることになってしまったのだ。 騎士爵になればクララ様の従者ではいられない。 かといって自分で入場権を得るには男爵以上の爵位が必要になってしまう。 「ゲイリー、何とかならないかな。自分はどうしてもダンジョンに行きたいんだよ」 吉岡はゲイリーに泣きついた。 「だったらアキトも勇者パーティーに入っちゃえばいいんだよ。そもそもリアは勇者パーティーに参加するようにとお告げを受けているんだろう? だったらリアの召喚獣であるアキトがパーティーにいたって何の問題もないじゃないか!」 まさに正論だ。 こうして吉岡とリアは領地をもたない騎士爵として王宮直属となり無事に迷宮探索へといけるようになったのである。  そして問題は俺だ。 俺もついに騎士爵として叙任されることとなった。 吉岡たちと同じように俺も領地なしの騎士爵として年間200万マルケスの捨扶持(すてぶち)を貰う立場に内定した。 だが、金額などどうでもいいことだ。     
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