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「……すみません」
「よいのだ。それよりも早く食べてみるがよい」
クララ様がせっかく持ってきてくださったのだ。
遠慮しないでいただくとしよう。
サンドイッチは野菜サンドとハムチーズサンドの二種類が乗っていた。
どちらも食べやすい大きさで綺麗に切り分けられている。
大好きな野菜サンドから食べた。
「あ、味はどうであろうか?」
「ええ。とっても美味しいです。ビアンカさんかクリスタさんが作ったのかな?」
ハンス君のお姉さんのクリスタさんもアミダ商会で働き出している。
生活力は高そうに見えたから料理も上手なのかもしれない。
「そ、そ、それは、私が作ったのだ」
……。
一瞬頭が真っ白になった。
「クララ様が?」
「うむ。料理くらいできるようになっておきたかったのだ……。本当はもっと手の込んだものを作ってやりたかったのだがアキトが少しずつ覚えればいいと言ってくれて……。このような簡単なもので済まない」
「何を言っているのですか! とても美味しいですよ。とても丁寧に作ってくださったんですね。クララ様……嬉しいです」
「コウタ……」
見つめあう俺たちの視線の端にフィーネのニヤケ顔が映った。
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