Karte1:美人になる薬

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「強い薬には副作用が伴います。裏薬は――お客様の大切な物を一つ、頂くことになりま」 「それでもいいです! はやく!」  キュウの話の途中にも関わらず、お客様は強引に薬を奪い荒々しく飲み込んでしまいました。  ――するとどうでしょう。  彼女の身体はキラキラと輝きだし、きっと世界で一番美しいともてはやされてもおかしくない、それくらいに美しい姿へと変わっていたのです。  お客様はその姿を見て、嬉しそうにくるくると回っていました。人間は単純でございますね。 「それでは、お客様? お代の方を頂戴致します」  キュウの丁寧な言葉に、お客様は嬉しそうに財布を出します。  そしてなにかを言おうと口を開いた時に――自分の異変に気付いたのでしょう。  自分の声が、出ないという事に。 「……!!」 「どうなさいました?」  キュウの声など聞こえないと言わんばかりに、お客様は首をブンブン振ります。ですが一向に、声は出ません。 「……言いましたよね、副作用が伴いますと」  キュウの顔は少し意地悪そうです。 「尚、一度飲んだら変更はできませんと伝えようと思ったのですが……お客様はそれを聞かずに飲んでしまいましてね。まぁ、お望み通りになった事ですし、よかったではありませんか」     
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