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「ピクシー」
「あら、なんでございましょうか――キュウ」
「なに一人で喋ってるんだよ、邪魔だから用事がないなら帰れ」
「たまには私のお相手をしてくれてもいいではありませんか?」
「俺はそんなに暇じゃない」
本当、釣れないお方でございます。
彼、キュウは私の方を一瞥すると、そのままお店の奥へと行ってしまいました。またお薬でも作りに行ったのでしょうかね。大変仕事熱心な方でございます。
……あぁ、それで薬のお話でしたね。
それは――いえ、やはりここで言うのはやめましょう。これ以上言ってしまっては、先が面白くありませんね。何より、私が彼に怒られてしまうかもしれません。彼はあぁ見えて怒ると怖いですから。
それだけは勘弁でございます。
……それでは前置きはこれくらいに致しましょうか。
これは、一人の少年が紡ぎ出す――不思議な薬と人間のお話。
本日も『奇し屋』、開店でございます。
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