Karte1:美人になる薬

2/9

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「ピクシー」 「なんでございますか、キュウ」 「そこにある緑の瓶取ってくれ」 「仰せのままに」  裏の世界の、小さな可愛いらしい薬屋さん『奇し屋』。 今日もお店は大忙しです。  彼はご存知ここの店主、キュウでございます。彼はいつも通り、不思議な薬のネックレスを首にかけながら仕事をしています。  夜空を閉じ込めた様な、それはそれはとても不思議なお色でございます。  ――あぁ、そうでした。  私の挨拶がまだでしたね。これは失敬を。  私は……そうですね、ピクシーと呼ばれている、とだけお伝えしておきましょうか。  ……えぇ、ピクシーです。  容姿はどちらかというと獣で。そうですね、世間的に九尾狐と呼ばれるものなのですが、名前はピクシーです。名前が無い私にキュウが付けてくれたお名前です。だから私は、ピクシーです。いつもは奇し屋のお手伝いをさせていただいております。 「ピクシー、独り言ぶつぶつ言ってないで早く取ってくれ」 「そんなに急かさなくても」  本当、人使いならぬ獣使いが荒い方でございます。  そんな事を思いながらも断る理由はございませんので、私はキュウに言われた瓶を慎重に運びます。     
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加