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「ピクシー」
「なんでございますか、キュウ」
「そこにある緑の瓶取ってくれ」
「仰せのままに」
裏の世界の、小さな可愛いらしい薬屋さん『奇し屋』。 今日もお店は大忙しです。
彼はご存知ここの店主、キュウでございます。彼はいつも通り、不思議な薬のネックレスを首にかけながら仕事をしています。
夜空を閉じ込めた様な、それはそれはとても不思議なお色でございます。
――あぁ、そうでした。
私の挨拶がまだでしたね。これは失敬を。
私は……そうですね、ピクシーと呼ばれている、とだけお伝えしておきましょうか。
……えぇ、ピクシーです。
容姿はどちらかというと獣で。そうですね、世間的に九尾狐と呼ばれるものなのですが、名前はピクシーです。名前が無い私にキュウが付けてくれたお名前です。だから私は、ピクシーです。いつもは奇し屋のお手伝いをさせていただいております。
「ピクシー、独り言ぶつぶつ言ってないで早く取ってくれ」
「そんなに急かさなくても」
本当、人使いならぬ獣使いが荒い方でございます。
そんな事を思いながらも断る理由はございませんので、私はキュウに言われた瓶を慎重に運びます。
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