0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
カランカラン……
「ごめんください」
「ん?」
あら、話の途中でしたが仕方ありません。お客様です。
その方はもう、それはとても華奢な女性でした。
「こちらが奇し屋さんであってるでしょうか?」
「あってますよ、ようこそいらっしゃいました」
キュウはお客様に、恭しく一礼します。口調が私に対してのとまるで違いますね。いつもの事でございますが、やはり私も一度はあれくらい丁寧に扱われたいものです。
……けれどもそんな様子を見て、お客様は少しだけ眉をひそめました。
仕方が無い事です。なんでって、目の前にいるのは自分よりうんと若い少年なのですから。
そんな私だったら怒ってしまいそうな反応にと、キュウは慣れっ子です。
ゆっくりわざとらしい笑いを作れば、そっと女性をエスコートします。
「足元が悪いですからね、こちらへどうぞ」
本当、紳士みたいです。これが裏の世界で薬屋を営む少年だなんて、想像もつきませんよね。
「何か言ったか」
「いえ、何も」
なんとまぁ、地獄耳な事で。
私は少しだけ肩をすくめ、キュウの後ろに回ります。
「それで、本日はどの様な薬をお求めで?」
最初のコメントを投稿しよう!