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「いたた、肩が痺れた……」
公園の中にある、木が剥げたベンチにもたれながら、パパが辛そうに声を漏らす。
ベンチの側に植えられた大きな樹が、少しずつ強くなってきた日差しを遮るように、私たちに陰を作ってくれていた。
「さすがに、家まではキツかったなぁ」
参ったなぁ、と肩を回すパパは、大量の教科書が入った荷物をずっと持ってくれていた。
「だから半分持つって言ったのに。パパだってもう若くないんだし、無茶しなくていいんだから」
「はは、若くない、かぁ……。まぁ言い換えれば、パパが歳をとるくらい、真規も成長したってことか」
「じゃあ私も、大人の仲間入りだよね」
「いやいや、甘いぞ真規」
「なんで? 電車賃だって、もう大人料金になるんだから」
そう強く言い切っても、パパは諭すように笑う。
「電車賃以外は、まだまだ子供だよ」
……そんなの、全然答えになってない。
心の中で呟いて、手の先まで隠す大きめの袖に視線を下ろした。
セーラー服が、少し伸びた体を覆い隠す。
まだ大人にならなくていいよって、言っているみたいに。
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