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黒瀬みゆきは驚きで瞑っていた目を恐る恐る開けた。
ギリギリで止まっている手をみて状況を理解した黒瀬みゆきは憮然とした。
「な、なにするんですか!」
黒瀬みゆきは驚きがおさまると途端に怒りを顕にした。
今のは客観的にみても主人が悪い様に思うので私は静観していた。
「ほら、この様に突然の事が起こると人は声をあげてしまいますよね?」
主人はそんな黒瀬みゆきの抗議も意に介さずという様に笑顔でそう応えた。
「はぁ?」
「つまり突然上から氷柱が落ちて来たらもしも当たらなくても声を出してしまうんじゃないかと思います。窓を閉めた状態で社長の携帯の音が聴こえたとすると開けた状態なら僅かな声でも聴こえた筈ですよね?」
「ま、まぁ、そうね。だとしたら……社長は下に居なかったんだわ。」
「それはわかりません。居ても声をあげない状況がありますから。」
「なによそれ。」
「つまり、既に気絶している状態。若しくは氷柱に当たった時です。」
主人の言葉に黒瀬みゆきは先程の怒りを忘れた様に驚いていた。
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