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「それは…お察しの通り飛び降りたからよ。」
「窓からですね。」
「そうよ。」
「な、なんでそんなこと!」
黒瀬みゆきと主人のやり取りに黒瀬達也が割り込んで叫んだ。
「多分何事かと思って窓を開けたら社長が埋まっていた。それで、横には氷柱でも転がっていたのではないでしょうか?そして最悪の想像をしてしまった。というところでは?」
「本当になんでもお見通しなのね。」
黒瀬みゆきは呆れた様な口調で主人を褒めた。
「ま、その最悪の上をいってたけどね。」
「握っていた携帯の内容を見たんですね?」
「そう。まさか、あんな事書いてるとは思わなかったから血の気が引いたわ。」
「それでどうしました?」
「どうも何も冷たくなってはいるけど、もしかしたら生き返るかもしれないと思って主人に連絡をしようと思ったの。」
「ではなぜ、自分ではなく自分の犯行を仄めかす第三者のふりをして送ったのですか?」
「そりゃあ、なんていうか、主人に協力してもらっても良いんだけど…。」
「嘘だとすぐバレそうだと思ったんですか?」
「おまえ!」
黒瀬達也が堪らずに叫んだ。
「いえ、主人を事件に巻き込むのはやっぱり嫌でしたので。」
私はうまい言い訳だなぁ、と感心した。
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