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しかし、私はどうも大きな謎が残っている様な気がした。
「あの…。如鏡さん?」
「なに?」
「そういえば、あの謎のLINEは誰が送ったんでしょう?『すまない君らにうら』ってLINE。」
「あぁ、あれね。もちろんみゆきさんです。」
「え?なんで?」
と私。
「その時のみゆきさんは携帯を持ってなかったのよ。そしたらどうしてそうなるかわかるはずよ。」
と主人。
え?携帯を持ってない…あ、そうか。
「慌てて飛び降りたけど、携帯を持ってない事に気がついて誰かに連絡をする為に社長の握っている携帯を開いたわけですね?」
私は黒瀬みゆきに訊いた。
「そうね。そしたらあの意味不明な内容のLINEをうっかり送ってしまったと言う訳。」
「それが4時30分という事ですね。」
私は納得した、やはり雪の衝撃でLINEが送られたというのは我ながら無理がある。
「そういえば、西村社長はなにか気にかけてる事とかなかったですか?」
突然主人が誰に言うともなく言った。
「気にかけてる事?女性の事以外なら仕事の事かしら?」
そう言った黒瀬みゆきは別段嫌味を言ってる風でもなかった。
「すみません、今更ですがどういった会社なんですか?」
と私。
「うちは旅行会社よ。」
と黒瀬みゆき。
「もしかして、ロシアとかモンゴルも扱ってますか?」
と主人。
「え?ええ、まあ。もちろん。」
「それぞれの地域で担当者などは居るんですか?」
「まぁ、だいたいだけど要るわね、ロシアとモンゴルならどちらも木村さんて人だわ。」
「……そういう事だったのね。」
何時ものように主人が一人で納得した所で私は思った。
今の会話で謎が解けるのだろうか?
すまない君らにうら
私は心のなかで謎の呪文の様に繰り返した。
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