ほこ先

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「なるほど、黒瀬みゆきさん。この証言で合ってますか?」 主人は黒瀬みゆきに聞いた。 「そうですね。確かにそうでした。洗濯をしながら洗い物もしていたので私も気が気ではなくて手伝うと再三言ったんですけどね、一人で出来るという事で断られました。」 「なるほど、その後はどうでした?特に午後9時以降。」 主人は西村町子に訊いた。 「午後9時以降でしたらたぶん明日の朝食の仕込みをしてキッチンにいたとおもいます。」 「なるほど。この証言で合ってますか?」 主人は黒瀬みゆきに目配せした。 「……確かに、そうだったかも…。」 と黒瀬みゆき。 「え?それだと犯行不可能じゃないですか?」 と私。 「あら…そうね。」 黒瀬みゆきはあっけらかんと肯定した。 キャリアウーマンぽい見た目とは裏腹に後先を考えずに行動するところがあるんだなぁと変に感心した。 と、その時黒瀬みゆきはなにか閃いたという顔をした。 「殴るだけなら小窓からでも出来ないかしら?」 と黒瀬みゆき。 「確かに出来そうですけど、その後どうします?小窓からは出れそうにありませんし、他の部屋の窓から出ていく所を見たというなら別ですが…。」 と私。 「え?それは…なかったわね。ごめんなさい。」 黒瀬みゆきは誰に謝ったのかわからない謝罪をした。
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