ほこ先

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「そういえば、白井雪さんの靴下が片方無いことに気がついたのは何時です?」 主人が西村町子に質問した。 「ええと、洗濯が終わってからだったとおもいます。」 「洗濯する前は揃っていたんですか?」 「そあたりは記憶が曖昧で、もしかしたらなかったのかも?」 「既に誰かによって取られていた可能性があるわけですね?」 「そうなります。白井さんが犯人だとは思いたくありませんから。」 「なぜです?」 「え?なぜって言われても……会社の社員は家族みたいなものですから…。」 「なるほど。理想的な経営者ですね。奥様は経営には(たずさ)わってなかったのですか?」 「そ、そんな…。私なんて何も出来ませんから。」 そう言って西村町子は(うつむ)きながら少し微笑んだ。 そこに、噂をすれば影という事なのか白石雪が現れた。 横には付き添う様に石原美里先生がいる。 「すみません。もう大丈夫です。」 とても大丈夫そうではない声で白石雪は言った。 「あんまり大丈夫でもないんだけど、どうしても気になるからと言ってね。」 美里先生はそう言って(かぶり)を振った。
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