誰かが嘘をついている。

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「ではもうひとつ、近くに大きな氷柱は落ちてませんでしたか?」 主人は黒瀬みゆきの主張を無視して白井雪に重ねて質問した。 「氷柱ですか?さぁ……あったのかもしれませんけど見当たりませんでした。」 「ちょ、ちょっと!それも、嘘!社長の上に乗ってたじゃない!あれが見えなかったと言うの?」 そういって黒瀬みゆきは(まく)し立てた。 「あの、黒瀬みゆきさん。」 主人は興奮している黒瀬みゆきに向き直った。 「な、なによ。」 黒瀬みゆきも何故か主人に対しては身構える様になった。 心のなかでファイティングポーズをとってるのがわかる。 「午後10時少し前部屋を見て回った時に他の人たちは何をしていたか覚えてますか?」 「え?それは……確か一階には泊まらないからと言ってあるので一階の方は自分の部屋に荷物を移動してたわね。その時、豪代君にも戸締(とじ)まりするように言って置いたのに、してないんだもの。ま、結果オーライだったけど。二階は事によっては部屋を変えてもらうかもしれないって言ったので主人と奥様には待ってもらったけど。」 「それなんですが。僕やっぱり施錠した様な気がしたんですけどね。」 と豪代進が異議を述べた。
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