本編第十二話の裏話 市民プールとラサの悲劇(ライトノベル版)

4/6
前へ
/13ページ
次へ
「買ってきました! どうぞ」  差し出されたアイスティーを一口、それをテーブルに置いてレモンシロップのカキ氷も一口。 「ありがと。もう行っていいわよ」 「そりゃないッスよ、せめて名前だけでも! 俺は難波(なんば)圭介(けいすけ)18歳、高三!」 「私は、江布衣(えふい)(りん)、さっきも行った通り、科学者よ」 「歳は‥‥22歳くらい?」 「ふふ、お世辞がうまいのね。ハズレ、もっと上よ」 「マジっすか! じゃあ、25くらい? 焦らさないで教えてくださいよ」 「ふふふ、ヒ・ミ・ツ☆」 「ミステリアスなトコもマジ・イカス!」  イカス、ね。  私の年代では使われていた死語だけど、最近の人気ラノベでブーム再来したとか。  他の子達は‥‥。 「そこのお嬢さん、とっても可愛いよ。そこまで伸ばした黒髪とか、絶滅危惧種と言っても過言じゃないぜ」 「あ、有り難う御座います‥‥でも、わたくしは、心に決めた方がいらっしゃり、ここも、こんな所だとは知らずに‥‥きゃっ、恥ずかしいですわ」 「も、萌え~。名前だけでも! オレは鎗田(やりた)一郎(いちろう)、19歳の高三!」 「ア、アイリスと申します‥‥17歳ですわ」  アイリさんは、やはり男性への免疫が無さそうね、17歳とは初耳、ずいぶん若くして亡くなったのね。  ずっと誰かの後ろに隠れるように逃げ回ってるからか、幽霊だと気付かれてないみたい。 「マジで!? もしかしてハーフとか‥‥には見えないし、当て字とか?」 「いえ、当て字はありませんわ」 「ねえねえ、通信デバイスの交換だけでも!」  アイリさんは口をつぐんでしまったわね。 「アイリさんは、とってもお淑やかで恥ずかしがり屋さんなの!」  マナミちゃんが、ついに両手を広げて立ち塞がった。 「キミも、メッチャ可愛い! アイドルとか目指してたり?」 「え、そんな風に見える? しょうがないなぁ、アタシは、地位(ちい)愛実(まなみ)、16歳の高2でーす☆」  セクシーポーズをキメてるわね。  相手のヤリタ君(?)は、かんぜんに鼻の下が伸びてる。  視線は、顔と胸をいったりきたり、年頃の男の子なんて、そんなものかしらね。 「通信デバイス交換しようよ!」 「ダーメ、ヒミツでーす」  さて、ラミちゃんは‥‥。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加