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朧に慣れていない者は、感情の揺れをうまく使えない。強い衝撃や感情の起伏があれば、朧は勝手に体から放たれる。
過去、親友を失った智孝にも起きたことだった。
一度だけゆっくりと呼吸をし、この話をした本当の理由を告げた。
「このことは俺を含めて5人しか知りえないことだ。あとでその人物の名前を教えるが、もし、その他に知っているとしたら、そいつが流天の人間である可能性が高い──いいな?」
嫌な予感がぬぐえないまま、黙って頷く二人。
「墨木隆一と明日香の遺体は、火葬される前になくなったんだ」
「なっ……!」
「遼太朗のことといい、緋華見で起きたことといい、これは俺達内部の人間がやったことに違いない。次の依頼で、本当に死んだ者が生き返るとしたら、な」
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