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いつの間に戻って来たのか、有羽は顎に手を置きながらそんなことを言った。ぎょっとして見ると、「お待たせ」と口にして二人の女性を華立たせるように、両手をキラキラと小刻みに振った。
「まずは里紗ね。この子は山緒里紗。聖くんと同じ臍央にいるんだけど、研究所じゃなくて、工場の方で働いてるの。パワーストーンとして加工するとこ。だから石に詳しいよ」
「里紗です。よろしくね」
「里紗とは小学校から一緒なの。だから……学年でいったら晟たちと同じだと思う」
晟との会話の雰囲気からそうだろうなと思っていた聖は、小さく頷いた。続けてもう一人の女性を紹介される。
「こちらはちょっとお姉さんの海白彩ちゃん。私、通常の学科を修了してからは、彩ちゃんと一緒に過ごすことが多いの。だから、普段何してるかを説明してもらうために連れてきました!あ、彩ちゃんは字守となった人達のために、『言葉』を教えてる人だよ。色んな言葉に変えられるように類義語?を調べたりしてるの。だから一言で言えば先生だね」
「初めまして。私の普段を紹介してもらっちゃったわね」
彩はくすくすと笑う。聖はというと、少し困惑した笑みを見せて言った。
「まだ、肝心の君の名前を教えてもらってないけど」
「おーう、ノー!……ホントだ」
「いいわ、有羽。今度は私が紹介するわね」
肩までの長さの髪をふわりと巻いている外見のように、彩は優しくそう口にした。
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