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これにもただ首を振るだけだった。
「普段は眠くならないけど、あんまり力を使うことがないからわからないんだ。もしかしたら限界だったのかもしれないなって」
「え? あれ? 朧って、力をたくさん使っても、一時記憶が飛んだり、感覚が鈍くなったりするだけじゃなかったっけ?」
「へー、朧使うとそんな感じなんだね」
一体何を言っているのだろう?と、有羽の感想に顔を歪めた。自分だって字守のくせに。
「あ、私ね、少しだけ朧みたいな力使えるけど、正確にいうと字守じゃないんだ」
「──えっ!?」
予想以上の声量に、周りの注目を集めてしまった。智孝にも謝るポーズをとった後、今度はひそひそと会話を続ける。
「どういうこと?」
「えーとね……どこから話す?」
つい最近同じ会話をしたなとデジャブを感じ「どこでもいいよ」と笑いながら答える。が、有羽の独特な雰囲気にのっかり、質問を投げかけてみた。
「あ、じゃあ、力が使えるようになったのはいつ?」
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