1人が本棚に入れています
本棚に追加
「うーんと、三年くらい前かな?」
「三年……それってさ、突然使えるようになったの?」
すると有羽は少しだけ顔を曇らせた。そしてじっと晟を見つめ、何かを言いかけるがそのまま息と共に飲み込むという行動を幾度か繰り返した。
もしや、まずいことでも聞いてしまったのだろうか?
「言いたくなければいいよ」と言おうとしたところで、彼女はそっと口を開き、
「……晟は、流天っていう組織を知ってる?」
と尋ねた。
どこかで聞いたような気がした。深く追求しようとすると頭の奥が疼く。しかし、構わず記憶を辿った。
有羽が口にした三年前、そして流天──行きついた記憶に小さく「あ」と声を発した後にこう呟く。
「──鬼狩り、だ」
すると今度は有羽が目を開いて驚いた。
「晟、知ってたんだね──そう。その鬼狩りがあった時、私もいたの」
鬼狩リガアッタ時、私モ イタノ……?
「──え?ちょっと待った。だってあの時は、字守が一人行方不明になったって……まさか」
最初のコメントを投稿しよう!